「厕所」と「洗手间」、どう使い分ける?

「厕所」と「洗手间」のいい方、どう使い分けるか?

 中国語でトイレのことを、「厕所」とも「洗手间」ともいう。両者に違いはあるのか?場合によって、使い分ける必要があるのか?これは、多くの中国語学習者が思い悩むところなのではないだろうか。

 結論をいう前、中国のトイレ事情の歴史を少し振り返ってみよう。

 「厕所」のいい方は、ずーっと昔からあったのに対し、「洗手间」と一般的にいうようになったのは、ここ三十年ほどのことという印象がある。

 三、四十年前の中国の公衆トイレの事情といえば、中で大と小の場所が分かれているだけで、扉がない。手を洗うところもない。つまり、その頃までのトイレは、専ら用を足すためのところであった。

 その後、ご存知の通り、中国経済が発展し、国民生活も著しく向上した。だんだんと、庶民でもホテルのレストランなどで食事するようになった。ホテルの中のトイレは、イメージとして今の日本にある普通のトイレと同じで、用を足す場所以外に、手を洗うための洗面ボウルもある。このような機能的なトイレのことを「洗手间」という。同じ頃から、「洗手间」のいい方が少しずつ庶民の間で浸透しはじめたと思う。どちらが上品か下品かというのではなく、「厕所」と「洗手间」は、そもそも定義が違うものだと思う。

 中国の公衆トイレは、今までがあまりにも凄すぎて、国力もついたことからか、最近国中にトイレ革命が起こっているらしい。トイレはきれいに機能的になっても、いい方として、「厕所」と「洗手间」と両方ある。長年「厕所」といい慣れた人は、「洗手间」でも「厕所」というのだろう。

 日本でも、昔トイレのことを「厠」(かわや)といっていたらしいが、今の若い人に「厠」(かわや)といっても、ほとんど通じないのではないだろうか。中国も、後数十年もすれば、「厕所」のいい方が自然淘汰されるかもしれない。パウダールームのように、新たに「化妆室」のいい方が広まるかもしれない。ことばは、時代とともに生きるというのは、まさにこういうことではないだろうか。

 「厕所」と「洗手间」のいい方、どう使い分けるか?
 結論、よほど昔のようなトイレでなければ、「洗手间」といいましょう。