日本と中国の人名の呼び方

「田中」さんの場合


 「僕、世界のどこにいっても、TANAKAと呼ばれるのに、なんで中国だけは、Tianzhongと呼ぶんだ?」このような質問、時々聞かれる。

 答えは、単純だ。中国も日本も漢字を使うが、読み方が違う。中国では、田中の二文字は、Tianzhongと発音するからなのだ。日本に暮らす中国人も、名前は日本語読みで呼ばれている。

 しかし、これに関して、実は変化が起こりはじめている。
 現在の中国習近平(中国語読み:Xijinping)主席の名前は、国際会議の通訳で、日本だけがしゅうきんぺいというのに対し、諸外国はXijinpingといっている。日本通訳業界は、これを問題視して、人の名前、特に著名人の名前は、固有名詞としてもとの読みを保とうと提唱しはじめたという。

 変化が起こりはじめたといっても、道のりが長い気がする。人の名前は、できたらもとの読みを保ってほしいと個人的に思う。数十年後、もしかしたら、田中さんは、どこにいっても、中国にいっても「TANAKA」と呼ばれる日が来るかもしれない。